飛行機雲広島は尾道も、晴れているけれど風が吹いて雲が流れときおり小雪がちらついたのでした。
昼にお風呂に入って、ユニクロでジーンズとカーディガンを買った。
iPhoneで調べた良さげな珈琲専門店に行ってみたのだけれども、大はずれだった(笑
過去の写真を整理していたら、ちょうど一年前に撮った飛行機雲の写真があった。
漠然とだけど、なんだか文章が書いてみたかったので、飛行機雲と言うタイトルで
文章を書いてみた。
E3 + ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8
「飛行機雲」
一月最後の日曜日、暮れ行く峠道をくだり10分程で家に到着しよ
うとしていた時、ユミは助手席から僕に尋ねた。
「あれって飛行機雲なの?」
彼女が指差す方向、進行方向に向かって左、すなわち助手席の窓を
ちらっと横目で見ると、南南西の空に一筋の雲が見えた。一瞬だっ
たけど、たしかにそれは飛行機雲のようだった。
この辺りで飛行機雲が見えるなんて珍しいな、と僕は思った。と言
うのもこの空域を飛行機が通る事は殆どないからだ。自慢じゃない
けど、僕は空を眺める事についてはなかなかの専門家で、いつ、ど
こに行けばどんな空が見えるのかを知っていた。
もちろん、飛行機雲や飛行機が見たければ、どこに行くべきなのか
と言うのは熟知していたし、今こうやって車を走らせているその先
にある空は、僕の知りうる限り飛行機や飛行機雲を見る事が出来る
空ではなかった。
峠を下りきる手前、見晴らしのよい右カーブの路肩に僕は車を止め、
ストールを首に巻いて彼女が指摘した飛行機雲を眺めてみた。
風はなく、傾いた太陽の日差しが眼下の森を黒い影に変えていた。
雲は左から右へ、ゆっくりとではあるがさっき見た時よりも伸び続
けているようだった。尻尾は上空の風に流され広がっていて、墨を
浸け過ぎた筆で書いた様な”一の字”のように滲んでいた。先頭はサ
グラダ・ファミリアの尖塔の様に細く尖っており、ゆっくりとでは
あるけど先端は西の方へと進んでいるようだった。
僕がその雲を眺めている間、彼女は車の中から僕の後ろ姿と雲を交
互に眺めているようだった。彼女の視線や気配を僕はたとえそれが
背中に向けられている時であっても感じることが出来るのだ。
雲を眺めながら、残り少なくなったタバコを口にくわえ、火を点け
ようとコートのポケットを探っていると、彼女は車から降りて来た。
「そこにはないよ、ここにある。」
ライターを手渡す彼女の手は、車の中にいたのにもう冷えていた。
僕は左手で受け取ったライターを右手に持ち替えタバコに火を点け、
左手で彼女の右手を掴んで自分のコートのポケットの中に入れた。
「あったかいね。」と、彼女。
しばらく二人でその雲を眺めていた。
「ここを飛行機が通るなんて珍しいな、チャーター便か何かかな。
方角から行ってあれは香港へ向かう便かな?」と僕が言うと、彼
女は「うん」とだけ言って頷きコートの中の僕の手を少し強く握
った。恐らく寒いのだろう。
「香港じゃなくてオーストラリアかもしれないよ。きっと、あった
かい所に行く飛行機。」
彼女は雲を眺めながら、それがこの寒い日本ではなく暖かいオース
トラリアへ向かうのだと考えているようだった。それは、飛行機が
向かっている空路や時間帯を論理的に考えて導きだされて来た言葉
ではなく、彼女自身が感じている今の状況
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